ブルックナー/メモランダム⑤の1ー朝比奈隆

 1981年8月の『音楽の手帖 ブルックナー』(青土社)は、ブルックナーファンの座右の書と思いますが、そのいくつかを紹介したいと思います。まず、朝比奈隆氏「インタビュー ブルックナーの世界」を取り上げます。ここでは実に含蓄のあるブルックナー論が展開されています。関係する著作も多い朝比奈隆氏ですが、このインタビューはコンパクトながら、ブルックナーの魅力をいろいろな角度から教えてくれます。
 
 氏はここで、①作曲家の伝記と楽譜の世界の峻別、②宗教的な解釈からの一定の距離、③演奏における客観性への配慮(スコアへの忠実性)を述べています。
 また、ブルックナー演奏の難しさでは、④作品の構成力の弱さ、⑤パート譜からの音楽イメージが掴みにくい点、⑥その総和としてのオーケストレーションにおける忍耐性を指摘しています。
 さらに、シンフォニー演奏にあたっては、⑦シューベルトの交響曲との近似、⑧オルガン演奏の意識をもつことと残響の重要性、⑨ライブ演奏のもつ積極的な意味が語られます。
 最後にブルックナー個人については⑩「ロマン主義後期に現れた原始人」といい、都会的で知的なマーラーとの比較においては「田舎の坊さん」と親しみをこめてコメントしています。氏のお人柄が偲ばれる清々しいインタビューだと感じます。
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