ブルックナー/メモランダムⅡ②ーE.インバル

 エリアフ・インバル(Eliahu Inbal)は、1936年エルサレム生まれ。ヴァイオリン、作曲、指揮法を学び26歳で「グイード・カンテルリ指揮者コンクール」で1等賞を得て注目されます。1974年にフランクフルト放送交響楽団の首席指揮者に就任、以降、この楽団を世界のスターダムに乗せるべく活動を開始します。
 ブルックナーのみならず、シューマンやマーラーの交響曲全集を世に問い高い評価を得ます。ブルックナーに関しては、3,4,8番について初稿初録音に挑戦し、世界中のブルックナーファンの度肝を抜くことになります。
 既に、3番は1946年にカイルベルトが、8番は1973年にシェーンツェラーが、4番は1975年にヴェスが初演をしている(1987年同管弦楽団の初来日の際の「プログラム」での金子建志氏の解説 )とのことですが、インバルはおそらく早くからスコアを研究し、作曲者のオリジナル版への回帰、初稿重視の方針を固めていたようです。
 わずかな期間ですが、フランクフルトやデュッセルドルフに住んでみて、その都市の個性の違いを実感しました。もともとの連邦制における地域特性の相違はもちろんですが、それに加えて、戦後の連合軍の駐留の影響もあります。フランクフルトは米国、デュッセルドルフはフランスの駐留下に置かれますが、米軍基地の存在もあり、フランクフルトは都市計画ひとつとっても、ドイツにおいては最もアメリカナイズされた都市と言われます。フランクフルト放送交響楽団にもそうした都市の雰囲気が反映されているのか、そのサウンドは北ドイツの重厚な響きとは断然異なります。ドイツのオーケストラのなかでは、透明な、やや軽めで柔らかなサウンドに特色があるように感じました。イスラエル人のインバルは、バーンスタインにその才能を見いだされた一人とのことですが、フランクフルトの常任になっても、この都市の受容能力からは至極、自然に思えます。
 東京の初公演ではマーラーを聴きましたが、インバルのブルックナーは全集で楽しんでいます。インバルの現代的な解釈とこのオーケストラのサウンドや自由で機能主義的な演奏スタイルはよくマッチしているように思えます。 
 
<コンサート記録>
1987年11月4日:フランクフルト放送交響楽団/サントリーホール
◆ベートーヴェン/交響曲第8番
◆マーラー/交響曲第1番
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ブルックナー/メモランダムⅡ②ーE.インバル への4件のフィードバック

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