ブルックナー/メモランダムⅤ② ーゲルマンの森(2)

 ふたたびカール・ハーゼル(山縣光晶訳)『森が語るドイツの歴史』(1996年 築地書店)<原題:Forstgeschichte:Ein Grundriß für Studium und Praxis by Karl Hasel @1985 Verlag Paul Parey>からの示唆です。
 
 「中世の土地開拓に大きな影響を持ったのは、宗教的な土地所有者、なかでも修道院でした。修道院は、カロリンガー王朝時代は王によって、またその後は封建貴族の一族によって創設され、多くの場合、戒律などにしたがい寂しい土地や道のない山のなかの森に居を構えたのです」(p.53)
 
 ブルックナーゆかりのアンスフェルデンは3世紀のローマ時代の道路地図に記載があると言われる古い村です。ブルックナーの父が亡くなり母テレージアは、生計のため長男ブルックナーを近くの聖フローリアン教会に託します。よくブルックナーのCDのジャケットの表紙を飾るこの修道院のバロック調の建物(カルロ・カルローネ建築)は壮麗なものです。
 
 「修道院は、魂の救済や慈善活動、病院看護、学校教育を通じてその一帯の文化の中心となりました。そこには文章や、暦などの時間の知識を自由に操る学者が集まり、あらゆる種類の工芸、手工業があり、医者や薬師も活動していました」(pp53-54)
 
 ブルックナーは既に叔父ヴァイスから1年半に亘ってオルガン演奏、作曲理論などの専門的な教育を受けていましたが、16歳になるまでの3年半を聖フローリアン教会で聖歌隊員、ヴァイオリニスト兼オルガン助手として勉強して過ごします。抜群の成績だったようです。こう見てくると、彼は大変恵まれた学習環境にあったことがわかります。それを支えたのは多くの土地を所有する大修道院の経済力だったわけです。
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