ブルックナー/メモランダムⅤ⑦ ーミサ曲:E.ヨッフム(3)

 ヨッフムの父はオルガン奏者で教会の合唱長でした(「メモランダム⑤の5ーE.ヨッフムの論考」を参照)。ヨッフム自身、アウグスブルクの音楽院時代にはオルガンを学び、その後、ミュンヘン音楽芸術アカデミーでは、当初オルガニスト兼教会作曲家になるためのコースを専攻していたとのことで、ブルックナーとはその経歴においても共通し、オルガンやミサ曲・合唱曲に対する造詣の深さもなるほどと頷けます。
 そのヨッフムで、ミサ曲ではありませんがバッハのカンタータを一度ライブで聴いたことがあります。1970年のベルリン・ドイツ・オペラ来日時の特別演奏会で、「ヨッフム/フィッシャー=ディスカウの夕べ」という一夜のコンサートがあり、バッハのカンタータ第56番「われ喜びて十字架を担わん」B.W.V.56(第1曲「アリア」、第2曲「レチタティーヴォ」、第3曲「アリア」、第4曲「レチタティーヴォ」、第5曲「コラール」の5曲)でした。
 宗教曲のライブ体験は、カール・リヒター/ミュンヘン・バッハ管弦楽団、合唱団でバッハの「ロ短調ミサ」以来でしたが、この時はフィッシャー=ディスカウをメインに聴きたいと思って、厚生年金会館に足を運んだように記憶しています。
 ブルックナーは多くの宗教曲、合唱曲を作曲しており、この分野の秀作だけでも世に十分に名を残したといわれますが、ハイドン『天地創造』『四季』、モーツアルト『ハ短調ミサ』、ヘンデル『メサイヤ』、そしてバッハの多くの作品に幼年期から青年期にかけて親しみ、また相当な研究をしたと言われます(土田英三郎『ブルックナー』/メモランダム⑥の1を参照)。
 形式を重んじ、レチタティーヴォにせよ合唱にせよ言葉に奉仕する敬虔な音楽をつくりだす一方で、作曲の自由度が高く、言葉を要しないという意味で、宗教曲とは対極にある世俗的な交響曲に惹かれていくーーこのバランスもブルックナーの音楽の特色を強く規定していると思いますが、前者をもっとも多く紹介しているのもヨッフムです。ヨッフムがバイエルン放送管弦楽団、ベルリン・フィル、ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団と録音したブルックナーの合唱曲集は1962ー72年まで10年余を費やしています。その熱意と持続力には驚かされますが、ひたむきなブルックナーへの敬慕あればこそでしょう。 
 

<コンサートの記録> 

1969年5月9日:カール・リヒター/ミュンヘンバッハ管弦楽団・合唱団: 東京文化会館
S/ウルズラ・ブッケル,A/マルガ・ヘフゲン,T/エルンスト・ヘフリガー,B/キート・ヘンゲン,
B/ペーター・バン・デア・ビルト,B/エルンスト・ゲロルト・シュラム,VN/クルト・グントナー,FL/パウル・マイゼン,OB/クルト・ハウスマン,OB/マンフレッド・クレメント,TP/ピエール・ティボー,HRN/ヘルマン・バウマン(以上、来日メンバー)
◆バッハ/ロ短調ミサ

 

1970年4月22日:ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、合唱団/厚生年金会館
◆モーツァルト/交響曲第39番
◆バッハ/喜んで十字架を担おう(BR/フィッシャーディースカウ)
◆モーツァルト/交響曲第41番
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