ブルックナー/メモランダムⅨ①ー日本での交響曲初演

  1. llegro – Poco meno mosso
  2. Andante sostenuto
  3. Scherzo. Presto – Trio. Langsamer und ruhiger
  4. Finale. Moderato – Allegro vivace

  1978年6月5日大阪フィスティバルホールにて朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団により初演。世界初演は1924年10月12日(ブルックナー生誕100年にあたる)だから、ほぼその四半世紀のちになる。朝比奈の0番はその後、定評ある演奏となるが、ブルックナーが日本でブームになるはるか前の78年段階での初演の先駆性は高く評価されよう。

 なお、朝比奈については「名指揮者」のコーナー(ブルックナー/メモランダムⅦ⑤、⑥)で取り上げている。また、0番の新譜が当時話題になったことについては「古き名盤」( ブルックナー/メモランダム④の3)を参照。

 

  1. Allegro molto moderato
  2. Adagio
  3. Scherzo. Lebhaft
  4. Finale. Bewegt, feurig

 1933年11月22日宝塚大劇場で、J.ラスカ/宝塚交響楽協会により初演。ラスカはロシアからピアニストとして来日し、1924(大正13)年2月に宝塚交響楽団の発足とともに指揮者として迎えられた音楽家。また、夭折した戦前の音楽家貴志康一(1909-1937年)に音楽理論と作曲を教えた人物としても知られる。余談だが、1925(大正14)年大阪では三越百貨店屋上に大阪放送局が設けられ、その放送局のために大阪フィルハーモニー・オーケストラが結成され、関西在住の音楽家が総動員された。貴志康一は第2ヴァイオリンの団員になるが、朝比奈隆も同じ第2ヴァイオリンだったとのこと。ここにもブルックナー関係者の重要な「接点」があり興味深いhttp://www.konan.ed.jp/art/kishi/html/life.html)。

 ブルックナーの初演指揮者としては、後述の4番でもふたたびラスカが登場するが、この指揮者こそ我が国にもっとも早く、ブルックナーを紹介した功労者といえよう。

 

  1. Ziemlich schnell
  2. Adagio. Feierlich, etwas bewegt
  3. Scherzo. Schnell
  4. Finale. Mehr schnell – Sehr schnell

 1974年札幌市民会館で、P.シュヴァルツ/札幌交響楽団による初演。P.シュヴァルツは、生粋のウィーン子で幼年期はウィーン少年合唱団にも所属し、後ウィーンに帰還し指揮科の教授として活躍した人物。ウィーンなじみの作曲家ブルックナー、マーラー、プフィツナーなどの作品も積極的に札響で演奏し、その影響でヨーロッパからの指揮者バーツラフ・ノイマン、アルヴィド・ヤンソンス、ラファエル・フリュウベック・デ・ブルゴスなどの指揮者も札幌に赴いたと言われる。これも素晴らしい成果であると言えようhttp://members3.jcom.home.ne.jp/sakkyoclub/photograph/kaiho/kaiho026/kaiho026.html)。  

<>SYMPHONY NO.3 IN D MINOR

  1. Gemaessigt, mehr bewegt, misterioso
  2. Adagio, bewegt, quasi andante
  3. Scherzo. Ziemlich schnell
  4. Finale. Allegro

  1962年5月23日京都会館にて、H.カウフマン/京都市交響楽団による初演。カウフマンについては、帰国後ブレーメンの音楽大学の楽長になったとのことだが、面白い指摘があるので、以下一部引用させていただく。

 「Hans Joahim Kauffmann(ハンス・ヨアヒム・カウフマン)先生は京響の第2代の音楽監督・常任指揮者で、日本では当時珍しかったBruckner(ブルックナー)などの作品を盛んに取り上げていた。ただ、大変厳格で有名だった初代のカール・チュリウスに比べて、人柄が余りに寛大だったので、2年程で帰国してしまった。彼は指揮者と言うよりは学者肌の人で、頭の回転と記憶力の良さには舌を巻いた。彼は片言の日本語を喋ったが、日本人の我々にちゃんと通じた。日本語を忘れてはいなかったようだった。学長室には日本の掛け軸が掛かっていて・・(中略)聞くところに依ると彼の自宅には広重の『東海道五十三次』の本物が3枚ほど有ると言う」(http://homepage1.nifty.com/sikitsuji/deusch-nikki.html)。

 

  1. Bewegt, nicht zu schnell
  2. Andante, quasi allegretto
  3. Scherzo. Bewegt – Trio. Nicht zu schnell. Keinesfalls schleppend – Scherzo
  4. Finale. Bewegt, doch nicht zu schnell  

 1931年4月24日宝塚大歌劇場でJ.ラスカ/宝塚交響楽団による初演。これが日本における初のブルックナー演奏と言われる。さらに、「テ・デウム」についても1935年1月26日大阪朝日会館にて、J.ラスカ/宝塚交響楽協会、朝日コーラスによる初演が行われたというのだから、ラスカのブルックナーに寄せる並々ならぬ熱意を感じることができる。

 ラスカ(1886ー1964年)について次の指摘も紹介しておきたい。「 ラスカは、プラハの国立ドイツ劇場などで指揮者として活躍。第一次大戦中にロシア軍の捕虜となり、シベリアの収容所を転々とする。1923年に東京の楽団の招きで来日するが、直前に関東大震災が発生し、急きょ宝塚音楽歌劇学校の教授に就任した。歌劇の伴奏者が結成した宝塚交響楽団を指揮し、精力的に演奏会を開催。ブルックナー作品などを日本で初演し、反響を呼んだ。『日本組曲』『万葉集歌曲』など日本をモチーフにした曲を手掛ける一方、芦屋ゆかりの早世のバイオリニスト、貴志康一ら後進の指導にも力を注いだ」(http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/030607ke111790.html)。

 

  1. Introduction. Adagio – Allegro. 
  2. Adagio. Sehr langsam
  3. Scherzo. Molto vivace (schnell) – Trio. Im gleichen Tempo
  4. Finale. Adagio – Allegro moderato

 1962年4月18日大阪フェスティバルホールで、E.ヨッフム/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団にて初演。ヨッフムについては「名指揮者」ほかでいくども取り上げてきたのでここでは省略。

 むしろ、ここまで書いてきて、日本における「ブルックナー受容」に、いかに関西が大きな役割を果たしてきたかに驚くばかりである。大阪、宝塚、京都の各地で、時代こそ異なれ、連綿とブルックナーを取り上げてきた関西の力は凄い。ヨッフムが最も得意とする5番の初演を大阪で行ったことも、関西の輝かしい「ブルックナー受容」の一コマとなった。

 

  1. Maestoso
  2. Adagio. Sehr feierlich
  3. Scherzo. Nicht schnell – Trio. Langsam
  4. Finale. Bewegt, doch nicht zu schnell

 1955年3月15日日比谷公会堂で、N.エッシュバッハー/NHK交響楽団によって初演。ニクラウス・エッシュバッハーは当時のN響の常任指揮者。なお、N響初代指揮者近衛秀麿は、日本人としてのブルックネリアーナ指揮者の草分け的な存在で、4番(1931年5月29日)、7番(1948年10月18日)の取り上げ時期の先駆性は強調しておくべきだろう。  

<>SYMPHONY NO.7 IN E MAJOR

  1. Allegro moderato
  2. Adagio. Sehr feierlich und sehr langsam
  3. Scherzo. Sehr schnell
  4. Finale. Bewegt, doch nicht zu schnell 

 1933年10月21日奏楽堂で、K.プリングスハイム/東京音楽学校にて初演。『K.プリングスハイムと日本的和声の理論   Kaus Pringsheim and Theory of Japanese Harmony』といった研究論文http://ci.nii.ac.jp/naid/110000282176/)もでていることから、当時にあって大きな影響力のある人だったのだろう。

 

  1. Allegro moderato
  2. Scherzo. Allegro moderato
  3. Adagio. Feierlich langsam, aber nicht schleppend
  4. Finale. Feierlich, nicht schnell

 1959年10月28日日比谷公会堂で、カラヤン/ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団にて初演。カラヤンの8番については「古き名盤」で記載。また、別ブログの『織工ⅱ』でも書いているのでここでは省略。 

 

  1. Feierlich. Misterioso
  2. Scherzo. Bewegt, lebhaft – Trio. Schnell – Scherzo
  3. Adagio. Langsam, feierlich 

 1936年2月15日奏楽堂で、K.プリングスハイム/東京音楽学校にて初演。上記7番を参照。

以上、初演の出典は『ブルックナー:作曲家別名曲解説ライブラリー⑤』(1993年 音楽之友社)pp.205-206による。

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