ブルックナー/メモランダムⅩ⑦ー<古い書架から2>諸井三郎

『創元音楽講座1 総論編』 出版社: 創元社 (1952/02)
 
 古い啓蒙書であるが好著である。以下は諸井三郎氏の書いた「ロマン派の音楽」の一部である。
 
 「…彼は非常な好人物で、極めて素朴な性質であり、熱心な敬虔なカトリック信者であると共に熱烈な愛国者であった。・・・彼は敬虔なカトリック的信仰を、大規模な交響曲として表現したのであって、主観主義にもとづいてはいるが、しかし素朴な絶対的な信仰心から一種の超主観主義に達し、普遍的な感情を現わすことに成功したのである。ここに彼の非常に大きな意義があり、多くのロマン主義音楽が激しい動揺を内包しているのに対し、広大な静けさを示すようになった。ブルックナーの音楽に惹かれる人は、この宗教的であってかつ素朴な静けさを愛するからであり、又ブルックナーの音楽を否定する人は、この静けさに堪え難い、いらだちを感ずるのである」(p.186)。
 
 「・・・ブルックナーは宗教的感情自体にもとづいて音楽を書いたので、それがブルックナーをして標題音楽に手を染めさせなかった理由である。かくてアントン・ブルックナーは後期ロマン主義音楽の歴史の内において極めて特殊な位置を占めるに至った」(pp186-187)。
 
 もっとも、その技術的な側面においては否定的であり、対位法は情緒的であり、「構成における冗漫さ、対位法的処理における緊張感の欠如等は、これを明らかに批判することが出来る」(p.187)とも記述される。 そうした点では宗教的な好人物だが作曲技法においては甘いといった見方であろうか。
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