ブルックナー/メモランダムⅩ⑦ー<古い書架から4>C.ロスタン

『ドイツ音楽』 C.ロスタン 吉田秀和訳 出版社:白水社 (1966/02)
 
 クロード・ロスタン(Claude Rostand)はフランスの音楽評論家。ブルックナーについては第6章「ロマン主義の最盛期」の最後にふれられている。
 
 「…彼はとくに、≪世紀末≫のドイツ音楽を特徴づける巨大趣味(もっともブラームスのような人はこれを脱却していたが)の精神による厖大な規模をもつ11の交響曲の作者として名を残している。シューベルトのような無垢の心をもって彼はこれらの大伽藍を打ち建て、ときにはそれらにワーグナー的な軽妙な色彩を与える。ブルックナーはワーグナーに深い尊敬を抱いていたけれども、彼の交響曲は、通常いわれているほどには、バイロイトの音楽家に似ているわけではない」。
 
 「形式についていうならば、これらの交響曲はベートーヴェンの交響曲の巨大化にすぎず、思想の必然性による拡張でも拡大でもない。そこには、主題や楽器や展開の奇妙な増加がみられる。だいたいにおいてブルックナーの音楽には情熱が欠けている。情熱は、ときには大いに誇張される荘厳さへの確固たる趣味、しばしば素朴な描写感覚、深く荘重な宗教性などにとって代わられている。この芸術は、真の美しさにあふれ、しばしばひじょうに感動的な調子をもっているが、これは、この人物の熱情が大きく、この熟練家の技巧がまったく魅惑的だからである。しかし、真の情緒、素朴に人間的なる情緒は、神と創造の偉大さに圧倒されているこの巨匠の作品からは取り除かれているように思われる。まるで、そうすることが作品の必然性によるものであるかのように」(pp.127-128)。
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