ブルックナー//メモランダムⅤ⑦ー3人の大指揮者

 
 ハンス・リヒター(Hans Richter, 18431916年)は19世紀後半から20世紀初頭を代表する大指揮者です。彼は、ブルックナーの交響曲第1,4,8番の初演指揮者であり、ブルックナー自身がもっとも感謝をしていた大指揮者でしょう。
 しかし、彼は、ワーグナーの「指輪」もブラームスの2,3番のシンフォニーも初演しています。彼にとって、当時のワーグナーVSブラームス論争などは、指揮者の職業上、顧慮すべきことではあっても、実は全く本質的ではないと思っていたのではないでしょうか。だからこそ、ワーグナー派とみられていたブルックナー交響曲の紹介も積極的に行いました。その弟子がクナッパーツブッシュです。
 
 

アルトゥル・ニキシュ(Nikisch Artúr, Arthur Nikisch, 18551922年)はブルックナーの交響曲第7番をライプチッヒで初演しました。彼は若き日にウイーン・フィルの楽員として、ブルックナーの交響曲を演奏したこともあります。その意味でもブルックナーをよく理解していた大指揮者でしょう。  

 その一方、ニキシュは、R.シュトラウスやマーラー、チャイコフスキーなどの作品も多く紹介する一方、ベートーヴェンの5番のシンフォニーをベルリン・フィルと録音(1913年)したことでも有名です。ニキシュの後任がフルトヴェングラーです。 

 


  カール・ムック(Karl Muck, 18591940年)のレパートリーの中心はワーグナーで、パルシファルのほか、ニーベルングの指輪を含む主要作品はすべて指揮しました。彼は、スコアに忠実な近代的な指揮者の祖とも言われるようですが、ワーグナーのほか、ボストン交響楽団を指揮したチャイコフスキーベルリオーズエルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ等の小品集の録音もあるようです。ブルックナーも積極的に取り上げました。なかでも、ウィーンに先駆けグラーツで交響曲第7番のオーストリア初演(1886年)、あるいは、アメリカにおけるブルックナー作品の紹介などで貢献しました。アメリカでの初期のブルックナー演奏は、アントン・ザイドル、ニキシュ、マーラー、そしてムックらによって行われました。その弟子がカール・ベームです。

ベームにとって、ムックはワルターとともに、恩師でしょう。そして、ワルターの「先生」がグスタフ・マーラー。そのマーラーはブルックナー交響曲第6番の全曲を初演しました。

 

さて、ここで登場したハンス・リヒター、アルトゥル・ニキシュ、カール・ムックといった大指揮者は、ブルックナーの交響曲を広めた功績は大きいですが、彼らのレパートリーからすれば、ブルックナーは主要の一部でしかなかったといえるかも知れません。いわゆるドイツ・オーストリー系(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど)の古典はしっかり押さえていたほか、ロシアもの、イギリスものなど同時代音楽にも積極的な関心をはらっています。職業的指揮者の「はしり」として、ある意味、オールラウンダーであったと言うべきでしょうか。

 

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ブルックナー//メモランダムⅤ⑦ー3人の大指揮者 への2件のフィードバック

  1. ピンバック: ブルックナー//メモランダムⅥ③ 最近の鑑賞記録 | ブルックナー・ブログ

  2. ピンバック: ブルックナー//メモランダムⅥ③ ブルックナー演奏論 | ブルックナー・ブログ

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