ブルックナー 選集 ベイヌム 備忘録

ブルックナー:交響曲第5番

 ベイヌムのブルックナーは、実に秀でたものです。コンセルトヘボウをスターダムに乗せた名匠メンゲンベルクはブルックナーをあまり取り上げなかったようですが、後任となったベイヌムは1945年首席指揮者就任以来、ブルックナーを得意とし、4(本収録外)、5、7、8、9番とその遺産を後生に残してくれました。

  5番、7番ですが、ベイヌムは、全く奇をてらうことなく弦楽・木管・金管の均衡をとりながら、じっくりと構えてブルックナーの音楽の美しさを伝えてくれます。テンポコントロールも安定しており、聴きやすく集中力にあふれた名演です。

 1931年、弱冠30歳で名門アムステルダム(現ロイヤル)・コンセルトヘボウの第二指揮者に任命されたベイヌムがはじめて取り上げたのがこの≪ブルックナー第8番≫でした。それからほぼ四半世紀ののち録音されたのが本盤です。端正な演奏スタイルをきっちりと守りながら、レガートが美しく全体に均整のとれた演奏こそベイヌムの本領です。しかし、この8番は少しく形相が違う彼のもう一面に接することができます。8番でベイヌムは途切れぬ緊張を維持し、ブルックナーの音楽の美しさと叩きつけるような激しき音響を相互に駆使して、熱っぽいブルックナー音楽の「使徒」を演じています。特に第4楽章、時に、こうした荒々しきダイナミズムもやるぞ!といった眦(まなじり)を決するような姿勢はちょっと驚きです。

ブルックナー演奏の名手ベイヌムのあと、ヨッフム、ハイティンクとコンセルトヘボウはブルックナーを積極的に取り上げ、それを確固たる「ブランド」化していきますが、ベイヌムはその路線をはじめに拓いた功労者です。9番は、円熟期にさしかかった57歳で急逝したベイヌムの晩年に近い演奏ですが、いつもながらの端正さのなか、遅いテンポの終楽章に内在する凝縮力は大変なものです。

  ビオラ奏者だったゆえでしょうか、ベイヌムは、ふくよかな弦の響かせ方が実に巧みで、それを基調に、木管は弦楽に溶け込ませるように用い、その一方、金管はクライマックスを除き、やや抑制気味に被せていきます。ライブ録音の多少のノイズはありますが、端正で実に溌剌とした演奏は確実に伝わってきます。いずれもブルックナー・ファンには得がたい見事な名演です。

<収録情報>
◆5番:1959年3月12日 オランダ放送のライヴ録音
◆7番:1953年 アムステルダム
◆8番:1955年6月6‐9日 アムステルダム
◆9番:1956年9月 アムステルダム

http://www.amazon.co.jp/Bruckner-Symphonies-Van-Beinum/dp/B000051W6J/ref=cm_cr-mr-title

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