ヴァント ブルックナー交響曲全集(旧盤)<11>

  ヴァントは、1938年 ケルン近くのデトモルト州立歌劇場で、その後ケルン歌劇場を足場に一歩一歩実力を蓄え、ケルンを本拠地に1946年同市の音楽総監督に就任。手兵ケルン放送交響楽団とのブルックナー交響曲全集はその代表作です。

 ヴァントのブルックナーの特色は、テキストを徹底的に研究し忠実な演奏を目指すことや4楽章間の最適な力配分を常に意識した演奏といった点ではヨッフムに似ています。その一方で、テンポ・コントロールは常に安定しつつも決して過度に遅くならず、むしろ時に軽快なさばきを見せる(それゆえ、全体に「重すぎる」感じを与えない)技巧ではシューリヒトと共通するところもあります。さらに、音の凝縮感をだすためにおそらくは相当な練習で音を練りあげる名トレーナーとしての顔ではベームと二重写しとも言えます。しかし、そうした印象を持ちながら聴いたとしても、全体の構成力からはやはりヴァントはヴァントであり、右顧左眄しない解釈にこそ彼の独自性があると思います。

 全曲、均一な優れたものですが、特に番数の若いものにヴァントらしい丁寧な音づくりの至芸がみえると思います。以下では座右の1~3番について若干のコメントを。

<第1番>
 第1番は、ブルックナーがリンツで初演し、その稿である<リンツ版>とその後、ほぼ四半世紀をへて作曲者自身が大きな校正をくわえた<ウイーン版:作曲者晩年の1890/1891年改訂>があります。私は、リンツ版ではノイマン、サヴァリッシュが、ウイーン版ではシャイーの少しく濃厚な演奏が好きですが、ヴァントの本盤はそれに比べて恬淡とはしていますが同じくウイーン版の代表的な1枚です。

<第2番>
 第2番では、ジュリーニ、ヨッフムをよく聴きますが、改めてヴァント/ケルン放送響に耳を澄ましてみて、これは実に良い演奏だと思います。シューリヒト的な小鳥の囀りに似た柔らかな木管の響きに癒され、第4楽章ではミサ曲第3番<キリエ>からの楽句の滋味溢れる解釈には深い感動を覚えます。2番では凡庸な演奏には時に感じる全体構成上の<ダレ>も全くありません。練り上げられた技倆とブルックナー第一人者としての自信と自負に裏打ちされた名演です。

<第3番>
 第3番も見事な演奏です。細部まで練りに練った演奏で、自由な音楽の飛翔とは無縁な、理詰めな解釈と一部も隙のないような凝縮感が特色です。それでいて重苦しさがないのは、時に軽妙なテンポでいなすコントロールゆえでしょうか。ブルックナーを聞きこんだリスナーにこそ高く評価される練達の演奏です。

(参考)
ブルックナー:交響曲第1番&第2番
ブルックナー:交響曲第3番&第4番「ロマンティック」
ブルックナー:交響曲第5番&第6番
ブルックナー:交響曲第8番
ブルックナー:交響曲第7番&第9番

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