フルトヴェングラー ブルックナー

フルトヴェングラ- の画像

まず、手元のメモをすこしく添付してから整理を試みよう。1ー3番の音源の存在は知られていないと思う(いわんや00番、0番もない)。以下のリストは下記選集による。

http://www.amazon.co.jp/Bruckner-Symphonies-A/dp/B0012XIGZU/ref=sr_1_2?s=music&ie=UTF8&qid=1376152904&sr=1-2&keywords=furtwangler+bruckner+9

◆第4番『ロマンティック』(VPO、1951年10月22日、シュトゥットガルト)

一般に有名な ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》改訂版 よりも一週間前のライヴ演奏。レーヴェ改訂版準拠。

◆交響曲第5番(BPO、1942年10月28日、ベルリン・ベルンブルガ・フィルハーモニー)  Symphony No. 5-Live 1942

ウイーン・フィルとの1951年盤 ブルックナー : 交響曲第5番 (ハース版) がよく知られているが、戦前のこの録音は意外に音がクリアで迫力に富む。ハース版準拠。

◆第6番(第1楽章欠落、BPO、1943年11月)

フルトヴェングラー現状知られる唯一の6番の記録。 ブルックナー:交響曲第6番

◆交響曲第7番(BPO、1951年4月23日、カイロ)

1949年盤 ブルックナー:交響曲第7番[原典版] が充実しているが、これは遠征先でのライブ盤。ほかにローマでの演奏もある。

◆第8番(VPO、1944年10月17日、ウィーン、ムジークフェラインザール)

これも1949年盤 ブルックナー:交響曲第8番(原典版) ダーレムのゲマインデハウスにおける放送用録音)が著名だが、遡って5年前のウィーンでの放送用録音。ハース版に準拠。

◆第9番(BPO、1944年10月7日、ベルリン)

VPOとの上記第8番と10日違いの日付をもつ、厳しい戦時下のベルリンでのライヴ。フルトヴェングラー唯一の第9番録音。

VPO:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

BPO:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》改訂版
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA%E3%80%8A%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8B%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0/dp/B000LC5BRY/ref=cm_cr_dp_asin_lnk

◆交響曲第4番(VPO、1951年10月29日、ミュンヘンのドイツ博物館コングレスザール)

1951年10月29日、ミュンヘンのドイツ博物館コングレスザールでの実況録音。地元のバイエルン放送がラジオ放送用に録音したものとのことである。当月のフルトヴェングラー/ウィーン・フィルは5日から22日まで、18日間で16回のコンサートをこなし、27日はフルトヴェングラーは単独でハンブルクに行き北ドイツ放送響を振り、翌28日はカールスルーエで再度ウイーン・フィルと合流しブラームス他を演奏している。そして29日にミュンヘンに入るという超人的な強行軍である。この録音もあくまでも放送用で、その後、長くLP、CDで聴きつがれることは演奏者は想像もしていなかっただろう。

フルトヴェングラーの足跡をたどるうえでは貴重な記録だが、会場の悪さ、オーケストラの疲労度からみてもベストの状況の録音とは思えない。会場の雑音の多さは一切無視するとしても、第1楽章冒頭のホルンのややふらついた出だしといい、折に触れての弦のアンサンブルの微妙な乱れといい、意外にもフルトヴェングラーの演奏にしては要所要所での劇的なダイナミクスの不足といい、4番を聴きこんだリスナーにとっては気になる点は多いはずである。
一方でレーヴェの改編版による演奏という点に関してはあまり気にならないかも知れない。それくらいフルトヴェングラーの演奏が「独特」であり後者の方に大方の関心が向かうからかも知れないが・・。

にもかかわらず、本盤はブルックナー・ファンにとっては傾聴に値すると思う。それは第2楽章アンダンテを中心に各楽章の弦のピアニッシモの諦観的な響きにある。特に第2楽章18分28秒の非常に遅いテンポのなかに籠められているのは、転調をしても基本的にその印象が変わらない深く、名状しがたい諦観であると思う。しかもそれはウイーン・フィルのこよなく美しい響きとともにある。ここに表出されている諦観が作曲者のものなのか、指揮者の時の感興か、双方かはリスナーの受け止め方如何であろうが。

Symphony No. 5-Live 1942
http://www.amazon.co.jp/Symphony-No-5-Live-1942-Bruckner/dp/B004U9M8X4/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1376153914&sr=1-1&keywords=furtwangler+bruckner

◆交響曲第5番(BPO、1942年10月28日、ベルリン・ベルンブルガ・フィルハーモニー)

ウイーン・フィルとの1951年盤がよく知られているが、戦前のこの録音は意外に音がクリアで迫力に富む。ハース版準拠。ライヴならではの即興性はあるものの、それ以前に強固な演奏スタイルを感じる。フレーズの処理が実に生き生きとしており、オーケストラは常時に変化するテンポ、リズムにピタッとあわせ、その一方でメロディは軽く、重く、明るく、暗く、変幻自在に波打つ。凡庸な演奏では及びもつかない凝縮感と内容の豊穣さである。

第1楽章、ブルックナーに特徴的な「原始霧」からはじまり、順をおって登場する各主題をフルトヴェングラーは意味深長に提示していく。それはあたかも深い思索とともにあるといった「纏」(まとい)とともに音楽は進行していく。この曲は極論すれば第1楽章で完結しているかの充足感があるが、つづく中間2楽章では、明るく浮き立つメロディ、抒情のパートはあっさりと速く処理し感情の深入りをここでは回避しているようだ。その一方、主題の重量感とダイナミックなうねりは常に意識され、金管のぶ厚い合奏がときに前面にでる。終楽章は、第1楽章の<対>のようにおかれ、各楽章での主題はここで走馬灯のように浮かび、かつ短く中断される。そののち、主題は複雑なフーガ、古式を感じさせるコラール風の荘厳な響き、そしてブルックナーならでは巨大なコーダへと展開され、ながい九十九折(つづらおり)の山道を登り峻厳なる山頂に到達する。この5番、フルトヴェングラーの演奏スタイルに特異な魔術(デーモン)を感じる。

ブルックナー : 交響曲 第5番 変ロ長調 (Bruckner : Symphony No.5 / Furtwangler & VPO (1951))

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E5%A4%89%E3%83%AD%E9%95%B7%E8%AA%BF-Bruckner-Symphony-Furtwangler/dp/B00A3N0FEA/ref=cm_cr-mr-title
◆交響曲第5番(VPO、1951年8月19日、ザルツブルク音楽祭ライヴ)

1951年8月19日ザルツブルク音楽祭における歴史的なライブ演奏。音源が荒いせいか、ザラザラした感触の不思議な「音楽空間」に、ウイーン・フィルとも思えない管の不安定さ、聴衆の咳がときたま入るといったお世辞にも決して良いとは言えないコンディション。録音にこだわる向きには、その点ではご留意下さい。しかし、そこを超越して、真のフルトヴェングラーを聴きたいリスナーには随喜の涙ものでしょう。ブルックナー演奏におけるいわゆるアゴーギク(テンポ、リズムの緩急の変化)の大胆すぎる適用といい、また、畳みかけるようなアッチェレランド(テンポの上げ方)といい、他では決して聴けない独自のブルックナーの世界の構築です。1回限りのライブ感が、演奏の先鋭性をより強くしています。そして時間の経過とともに音楽の深部にどんどん引き込まれていくような非常な緊張感があります。これは神憑りの演奏とでも表現すべきものです。

ブルックナー:交響曲第6番

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0/dp/B00005HV6W/ref=sr_1_106?s=music&ie=UTF8&qid=1376154712&sr=1-106&keywords=furtwangler+bruckner

◆交響曲第6番(第1楽章欠落、BPO、1943年11月)

なによりも、この盤の面白さは<1>ブルックナー&ヴォルフ、 <2>フルトヴェングラー&シュワルツコップ、 <3>フルトヴェングラーの指揮&ピアノ伴奏の<3つ>のカップリングの妙にあります。

まず ブルックナーの6番ですが、1943年の演奏で第1楽章は残念ながら欠落しています(ご注意あれ!)。また、フルトヴェングラーがピアノ伴奏(タッチのミスなどは無視しましょう)のヴォルフの歌曲集は、10年をへた1953年のライブですが、シュワルツコップは別に決定版のヴォルフの歌曲集を録音しています。

にもかかわらず、小憎らしい編集です。シュワルツコップはフルトヴェングラーを深く尊敬しており、しかも、彼女は当代随一のヴォルフ歌いでした。このカップリングは歴史的な意義が大きいと思いますし、6番のアダージョを聴いたあと、この二人の深いヴォルフの演奏に飛んで聴くのもなかなかの楽しみです。また、ヴォルフを聴きながら、ブルックナーとの関係に思いを馳せるのも一興。

ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(改訂版) [モノラル] (Bruckner : Sym No. 7 in E major (Revised ver.) / Furtwangler, BPO (1949 HMV) )

ブルックナー:交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第7番[原典版]
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC7%E7%95%AA-%E5%8E%9F%E5%85%B8%E7%89%88-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0/dp/B001T4AKDI/ref=sr_1_3?s=music&ie=UTF8&qid=1376153914&sr=1-3&keywords=furtwangler+bruckner

◆交響曲第7番(BPO、1949年10月18日、ベルリン・ダーレム、ゲマインデハウス)

1949年10月18日、ベルリン・ダーレム、ゲマインデハウスでの録音。ブルックナーの第7番は前半に頂点があり、第1楽章の終結部は強く締めくくられ、第2楽章の有名はアダージョのあと、第3楽章はワーグナー的な躍動感にあふれ、終楽章はブルックナーの他の交響曲のフィナーレに比べて軽量、快活そしてなにより短い。

フルトヴェングラーの第1楽章の再現部からコーダへの盛り上げ方は圧倒的でこの楽章だけで完結感、充足感が強い。アダージョの沈潜もフルトヴェングラーらしく深い味わいをたたえている。第3楽章はワーグナーのワルキューレの騎行をつよく連想させる。独特の振幅がありスケールが大きい。第4楽章は一転、速度を早め軽快に締めくくる。全般に堂々とした構えであり、この時点(1949年)での指揮者(そしてリスナー)へ強烈な示唆を与える規範的な演奏であったろう。

ブルックナー:交響曲第8番(原典版)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC8%E7%95%AA-%E5%8E%9F%E5%85%B8%E7%89%88-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0/dp/B000TLYF9C/ref=sr_1_15?s=music&ie=UTF8&qid=1376153914&sr=1-15&keywords=furtwangler+bruckner

◆交響曲第8番(BPO、1949年3月14,15日)

1949年3月14,15日のモノラル録音。聴く前に深呼吸がいるような演奏である。これから音楽による精神の「格闘技」に立ち会うような気分になって・・・。フルトヴェングラーのブルックナーの8番は数種の入手が可能だが、1949年収録の本盤がベストと言われる。しかし、録音を気にする方には留意がいるだろう。ライブ録音ながら、雑音が少なく比較的柔らかな響きが採れているとはいえ、全般に音はやせており、金管も本来の咆哮ではないであろう。緊張感をもって、無意識に補正しながら聴く必要がある。

その前提だが、演奏の「深度」は形容しがたいほど深く、一音一音が明確な意味付けをもっているように迫ってくる。テンポの「振幅」は、フルトヴェングラー以外の指揮者には成し得ないと思わせるほど大胆に可変的であり、強奏で最速なパートと最弱奏でこれ以上の遅さはありえないと感じるパートのコントラストは実に大きい。しかしそれが、恣意的、技巧的になされているとは全く思えないのは、演奏者の音楽への没入度が凄いからである。これほど深遠な精神性を感じさせる演奏は稀有中の稀有である。根底に作曲家すら音楽の作り手ではなく仲介者ではないかと錯覚させる、より大きな、説明不能な音楽のエートスを表現しようとしているからであろうか。

これから書くべき演奏として9番ははずせない。以下は備忘録。

ブルックナー:交響曲第9番
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%BC-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC9%E7%95%AA-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0/dp/B0002J53HE/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1376152904&sr=1-1&keywords=furtwangler+bruckner+9

◆第9番(BPO、1944年10月7日、ベルリン)

交響曲第7番 フルトヴェングラー&ベルリン・フィル(1951 ローマ)(エルプレーザー復刻)

・ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

録音時期:1951年5月1日
録音場所:ローマ

Sym.7: Furtwangler / Bpo

1951年、エジプトのカイロで行なわれたコンサートのライヴ録音。

交響曲第8番[ハース版] フルトヴェングラー&ウィーン・フィル(1944 ライヴ)(エルプレーザー復刻)

・ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB.108 [ハース版]
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

録音時期:1944年10月17日(モノラル)
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール(ライヴ)

Sym.8: Furtwangler / Vpo (1954)

ブルックナー:交響曲第8番(改訂版)
フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル
1954年4月10日、ウィーン・ムジークフェラインザールでのライヴ録音(モノラル)。ロート・ヴァイス・ロートによる収録。

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