クナッパーツブッシュ  ブルックナー Knappertsbusch Bruckner

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナー: 交響曲第8番

クナッパーツブッシュのブルックナーはその種類も多く、演奏、録音ともに良いとなると慎重なチョイスが必要な場合もありますが、ミュンヘン・フィルとの8番は素晴らしいものです(ライヴ盤もありますが本盤はスタジオ録音で音質は比較的良いと思います)。

クナッパーツブッシュは練習嫌いで有名、逸話を読むと特に気心のしれたオケではあえて斜に構えてそうしていたふしもあるようです。これはうがった見方では1回の演奏への集中度、燃焼度を高めるうえでの「方法論」といった視点もあるのではないでしょうか。深くえぐり取られるような音の「沈降」と一気に上昇気流に乗るような音の「飛翔」のダイナミクスの大きさは他ではなかなか聴けません。かつ、音が過度に重くならずスカッとした聴後感があります。音楽の設計スケールの大きさが「桁違い」で、こういう演奏をする人にこそ巨匠(ヴィルトゥオーソ)性があると言うのでしょう。歴史的な名盤です。

(追記:2012年7月30日)
本曲では長大な第3楽章のアダージョ(モーツァルトの交響曲1曲分がすっぽりと入る長さ!)こそ、演奏の質を決めると思っている。この点でもベートーヴェンの第9番を連想させるが、クナッパーツブッシュの「凄さ」は、この第3楽章を滔々と流しながら、しかし、いかに遅くとも失速感がなく、一方で過度な緊張もしいず、飽きさせずに自然に響かせることにある。

そこから浮かび上がるのは、なんと良き音楽なのだろうという、作品自身に対する深い満足感である。技術的には、連音符の繰り返しが慎重かつ巧みに処理され、同種テーマの再現でも、局面によって全て表情が違い、肌理の細かい配慮がなされている。その細部に至るまでの表情の「多様性」が、即興的に響くからこそ、魅力を湛えているのだと思う。いままで、桁違いの音楽スケールという点を強調してきたけれど、もう一つの隠れた技倆を、この第3楽章にみる思いである。

Symphony 8

Bruckner: Symphony No.8

ブルックナー: 交響曲第8番

1951年1月7〜8日にかけて録音されたベルリン・フィルとの演奏(1892年改訂版)。1963年のミュンヘン・フィルとのスタジオ録音およびライヴ演奏があまりにも有名で、かつ録音時点も本盤は古いことから一般にはあまり注目されませんが、これも素晴らしい演奏です。
クナッパーツブッシュの魅力は、うまく表現できませんが、独特の「節まわし」とでもいうべきところにあるのではないかと感じます。特に変調するときの大きなうねりに似たリズムの刻み方などに彼特有のアクセントがあるような気がします。それがいまはあまり演奏されない「改訂版」の採択と相まって、通常の演奏とかなり異なった印象をあたえる一因になっていると思います。
ベルリン・フィルの演奏は今日の精密機械にも例えられる機能主義的ではなく、もっとプロ・ドイツ的な古式の響きを感じさせますが、しっかりと8番の「重さ」を受け止めて質感あるブルックナー像を浮かび上がらせています。大御所の名演です。

Bruckner: Symphonies 3-5 & 7

小生の選集推薦盤。この選集が良いのは3番から9番までのラインナップに加えて、録音時点ではもっとも早い4番(1944年)から5番(1956年)までの12年間の軌跡を追えること、そして3つの楽団での演奏が聴けることだろう。各番ごとに他の演奏(すべてを網羅はしていない)について以下若干コメントしよう。

3番についてはウィーン・フィル盤(1954年4月スタジオ録音)と同年の演奏、その後ウィーン・フィルとは有名なライヴ盤(1960年2月14日、ムジークフェライン大ホール)がある。このほかにミュンヘン・フィルを振ったライヴ盤(1964年1月16日)もある。
4番はベルリン・フィル(1944年)だが、これはウィーン・フィル盤(1955年3月)のほうが一般的には有名。
5番はウィーン・フィル(シャルク改訂版、1956年ステレオ録音)で比較的新しい。その後、ミュンヘン・フィルとのライブ盤(収録:1959年3月19日 ミュンヘン)がリリースされ話題となった。
7番もウィーン・フィル(収録:1949年8月30日、ザルツブルク[ライヴ])ほか、新しいケルン放送交響楽団盤(収録:1963年5月10日)もある。
8番で有名なのはなんと言ってもミュンヘン・フィル盤(1963年)。スタジオ録音とライヴ盤の2種がある。本盤はベルリン・フィル(1951年)とだが、ほかにバイエルン国立(1955年12月)とのコンビ盤もある。
9番は、ベルリン・フィルとの本盤(1950年)のほか、これもミュンヘン・フィル盤(収録:1958年2月10日)やバイエルン国立盤(1958年2月録音)もある。

以上、さまざまな演奏があるが、これだけの集積をこの価格で聴くことができるのは有難い。以下は収録内容と主要な演奏評です。

<収録内容>
・交響曲第3番(録音:1954年10月11日) バイエルン国立歌劇場管弦楽団

・交響曲第4番『ロマンティック』(1944年9月8日) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
戦前の秀逸な記録
Bruckner: Symphony No.4

・交響曲第5番(1956年6月) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
大家の風貌
ブルックナー:交響曲第5番、他

・交響曲第7番(1949年8月30日) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
自在の技
Sym #7 in E

・交響曲第8番(1951年1月8日) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
プロ・ドイツ的独特の「節まわし」、大御所の名演
Symphony 8

・交響曲第9番(1950年1月28日) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
荘重かつ神秘的な演奏
Knappertsbusch Conds Bruckner

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