ブルックナー:交響曲第3番 チェリビダッケ

ブルックナー:交響曲第3番

ブルックナー:交響曲第3番

晦渋なる精神をはじめて世に問うたブルックナーの3番。チェリビダッケの演奏は第1、第2楽章は非常に遅く、第3楽章のトリオでやっと普通の速度、さらに驚くのは終楽章のアレグロ終結部。普通はピッチを上げて高揚感を盛り上げるところ、なんとここでチェリビダッケは減速するのである。最後まで、彼の流儀を貫いた演奏であり、その濃厚な音の束ね方からみても異色の名演である。

ジャケットが目を引くが、チェリビダッケはベルリンでの若き日から中国人導師のもと禅に傾倒していた。映画『チェリビダッケの庭』について安芸光男氏は次のように書いておられる。

ー 『チェリビダッケの庭』は、音楽と世界についての含蓄の深いアフォリズムに満ちている。そこから彼の思想を要約することばを一つだけ取り出すなら、「始まりのなかに終わりがある」つまり「始まりと終わりの同時性」ということである。これは音楽の開始について、指揮科の学生に語ることばなのだが、それは彼の宇宙観を集約することばでもあるのだ。ー

メビウスの帯を連想させるが、チェリビダッケにとって、かかる時間(全体で64:35だが、より長く感じる)は表現のために必須であり、「始まりのなかに終わりがある」とは禅でも説かれる「無窮性」に呼応し、これは1曲の交響曲においても、ブルックナーの全交響曲にもあてはまる。それを強く意識させるライヴ盤である。

広告
カテゴリー: 名指揮者 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中