レーグナー ブルックナー Heinz Rögner Bruckner

ブルックナー:交響曲第4、5、6、7、8、9番、ミサ曲第2、3番、テ・デウム、マーラー:交響曲第3番、他 レーグナー(11CD)

【第4番】

1983年7月および1984年11月に収録されたレーグナー/ベルリン放送響による第4番。
ライヴ盤ではなく、また一気呵成に収録されたわけでもない。いわば、ブルックナーの主力・有名曲をどう演奏するかを考えぬいて、あえて2つの特色を際だたせて世に送った。疾駆感とダイナミズムである(本ジャケットの牧歌的な雰囲気とは真逆)。全楽章のさまざまな音楽シーンにおいて、それ以外の要素は後景に引いている。その思い切った解釈をどう評価するかは難しいが、小生はこの疾駆感は、リスナーをけっして飽きさせず面白いと思う一方、原曲の指示は、第1、第3、終楽章ともにくどくも“ nicht zu schnell”(速すぎずに)であり、この速さゆえに複雑なニュアンスが減殺されていないかどうかは気になるところである。

Symphony 4

【第5番】

1983年9月および1984年1月に収録されたレーグナー/ベルリン放送響による第5番。
録音の技法もあるだろうが、ベルリン放送響の重たい低弦と声量の大きな管楽器を存分に押し出し、スケールの大きなブルックナー・ワールドを表現しようとしている。
第4番 Symphony 4 に比べると要所要所で緩急をかなりつけているが全般にはきびきびとした運行。特に駄演だとダレがちの第2楽章では、情感はややうすいが緊張感をうまく持続している。第3楽章は躍動感にみちており明るい表現に好感。折々のおどけたような、はにかんだような表情も可笑しく、こうした機微の濃やかさはレーグナー Symphony 6  の名演に共通するもの。
終楽章は、第3楽章の表現の多様性をもっと展開してほしいところだが、大上段から打ち下ろすような迫力重視。早業の剣技よろしく、むしろ抒情性を封じ込めたような独特な演奏。

Symphony 5

【第6番】

2001年惜しまれて世を去ったハインツ・レーグナーと手兵ベルリン放送響との演奏。レーグナーのブルックナーは3,4,5,7,8,9番やミサ曲の録音もあり得意の演目。東独出身という点ではテンシュテット、マズアなどと共通し、近代的な機能主義とは異なる良きロマンティシズムを感じさせる好演である。1980年6月ベルリン・キリスト教会での録音だが、かってのカラヤン盤がそうであったように残響がながく美しく響き、独特のブルックナーサウンドを形成している。これが6番のもつ抒情性とよくマッチし聴いていて思わずその端麗な音楽に引き込まれる。際だった個性は表にはでないが、演奏の格調は高く魅力的な1枚である。

Symphony 6

【第7番】

1983年5月、8月に収録されたレーグナー/ベルリン放送響による第7番。
出だしが清々しい。磨き込んだ弦楽器の高音域が心に浸みてくる。それに木管のよく訓練された響きがかぶってくる。並々ならぬ気構えを感じさせる第1楽章である。低弦が控えめに寄り添うが、管楽器は己の個性をときに堂々と主張する。レーグナーの場合、こうした展開は応用自在、ブルックナー各番によって異なる。第4番の疾風迅雷にくらぶれば、7番はインテンポ、表情も豊かでとてもオーソドックスに聴こえる。第2楽章前半はもっとテンポを落としてもいいのにと思う。急く必要はない、十分に聴かせる内容と技量があるのになぜ先を急ぐのかといった感じがある。大家のブルックナーが一般に遅くなることへのこれはアンチテーゼであろうか。短い第3楽章は波長がピタリと合っている印象でドライブ感も心地良い。その勢いのまま終楽章も充実した演奏。ベルリン放送響の音が重畳的に整序されて響き、熱き演奏となっている。

ブルックナー:交響曲第7番

【第8番】

1985年、ベルリン放送局大ホールで収録されたレーグナー/ベルリン放送響による第8番。
レーグナーのブルックナ-の交響曲録音は連続して行われている。第4番(第1稿ノヴァーク版)は、1983年7月&1984年11月、第5番(原典版)は、83年9月&84年1月、第6番(原典版)は最も早く80年6月、第7番(ハース版)は83年5月&8月であり、本8番(第1稿ハース版)は85年5月&7月、そして第9番(原典版)は83年2月に収録された。即ち、本盤の収録は他番とは一定の間をおいて「掉尾」としてなされたことがわかる。版も各番によって異なり、そこにレーグナーのブルックナー解釈の考え方が反映されているだろう。

前半2楽章の速さと直線的なダイナミズム、後半2楽章のじっくりと構えたオーソドックスな演奏のコントラストが本盤の最大の特色であろう。ベルリン放送響はよく訓練されブルックナー好きを唸らせるにたる見事なサウンドを提供してくれている(合奏の統一感とその残響が魅力)。

しかし、前半2楽章のときに息せき切るような速さには賛否両論があるだろう。一瞬もダルにさせない追い込み感からこの速度を良しとする見方がある一方、複雑で分析的なブルックナー音楽の妙味(特に集大成の8番において)がこの速度ではいささかなりと減殺されるとの見解もあると思う。

また、後半2楽章ではテンポを緩め、ボキャブラリーを豊富に盛ろうとしているが、前半とのコントラストが強すぎて、やや忍耐を要する。レーグナーのブルックナー解釈には基本的に共感するものの、全4楽章インテンポでも十分に良い演奏なのにと思うのは小生だけであろうか。

ブルックナー:交響曲第8番

【第9番】

◆第9番

1983年2月に収録されたレーグナー/ベルリン放送響による第9番。第1楽章の遠雷が徐々に近づいてくるような出だしは、その複雑な音型と不協和音によって現代音楽の幕開けを連想させる。それが時代を遡るように古典的なメロディに回帰し、さらに両者がその後交差する。この不思議な音楽空間を、遅いテンポのなかでレーグナーはあるがままに周到に浮かび上がらせている。

ブルックナー:交響曲第9番

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【以下は引用、一部抜粋】

ハインツ・レーグナー・ボックス
ブルックナー、マーラー、ワーグナー編

1978~88年ステレオ録音(DISC1&2はデジタル方式)。ドイツの名匠、ハインツ・レーグナー[1929~2001]の交響曲録音を集めたボックス・セット。
ライプツィヒ出身で、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者(1973~93)として多くのレコーディングをおこない、その個性的なアプローチが脚光を浴びていたレーグナーは、1984~89年には読売日響の常任指揮者を務めたこともあり、日本でもお馴染みの存在でした。
レーグナーの芸風は個性的なもので、作品の造形的な要素よりは、音楽の表情豊かな移り変わりや音色の濃淡といった要素を重視しており、サラリとした進行と濃厚な味わいという両極端の要素が混然一体となったような演奏は実にユニーク。その独自の魅力は今聴いても実に新鮮で、ときにみせる局所的な巨大スケールではクナッパーツブッシュに、楽想の変換と経過句の凝った処理ではシューリヒトにもなぞらえられたり、さらには異例ともいえる美しい旋律的表現が多用されるなど、まさに予断を許さぬ展開がレーグナーの面白さであります。

ブルックナーの第4番から第9番までの6曲の交響曲は、どれも高い評価を受けているものばかりで、推進力に富む演奏からは生き生きとした魅力が伝わってきます。(HMV)

 

 

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