マタチッチ 交響曲第8番 1984年東京ライヴ映像

NHKクラシカル マタチッチ指揮 1984年 NHK交響楽団 ブルックナー 交響曲8番 [DVD]

NHKクラシカル マタチッチ指揮 1984年 NHK交響楽団 ブルックナー 交響曲8番 [DVD]

2019年3月17日、NHK Eテレ/クラシック音楽館「N響 伝説の名演奏」でこの演奏が放映され久しぶりに見た。1984年3月7日 NHKホール収録だが、リマスターで映像はかなり鮮明である。マタチッチはカメラワークをおそらく一切意識していない。大汗かきで、しょっちゅうハンカチを顔にあてる。指揮棒は使わずにほぼ右手だけでリズムをとる。興がのると両手が連動し相貌の表情が豊かになる。指揮の動きは小さく強奏でもそれは変わらない。ブルックナー休止も指揮はとめない。わずかに眼光の鋭さや半開きの口によって表現を感じとれる。ふと、立派な耳と鼻から写楽の役者絵を連想する。

 

さて、74分余のその演奏の特徴は。まずもって驚かされるのはN響の緊張感あふれる応対で、第1楽章から管楽器も実力を思いっきり発揮すべく、奮戦の気構えで臨場している様が伝わってくる。

マタチッチの音楽づくりは、いつもどおり隈取りくっきり、リズムも小刻み、よく切れる包丁でザクザクと刃をいれていく印象ながら、その切り口はけっして大雑把ではない。否、細部に神経の行き届いた、それでいて生き生きとした溌剌さを失わせない統率力こそ持ち味だろう。頑固な名シェフといった趣である。N響はゲネプロまで徹底的にしごかれたことであろう。

演奏へ没入しているからか、ハイテンションの気迫が最後まで衰えない。むしろ楽章がすすむほど熱気が籠もってくる感じで、こういう実演に居合わせたら、聴衆は徐々に「金縛り」の状況になっても不思議はない。

全般にテンポは早く、第3楽章も一気に駆け抜ける爽快感があり、そのため弦、木管の叙情性あふれる表情は抑えられているように感じる。マタチッチの代表盤であるとともにブルックナー演奏の激戦区8番にあって、いまでも独自の存在感がある。

 

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ギーレン/バーデン・バーデン南西ドイツ放送響  交響曲第8番

Bruckner: Synfonie Nr.8, C-moll, Gielen

ミヒャエル・ギーレン(Michael Gielen)が2019年3月8日、91才で逝去した。ドレスデン生まれの老大家はブルックナーを得意とし最近交響曲全集(下記:参考)を残してくれている。

一方、いま追悼の気持ちで聴いているのは、第8番(ハ-ス版)であり、これは1990年12月、13日~19日、手兵たる南西ドイツ放送響を振ってのハンス・ロスバウトスタジオでのセッション録音である。60代前半の円熟期の演奏で集中度、細心の音の錬磨ともに“天晴れ”のもの。南西ドイツ放送響の澄んだ響きと機能主義的巧さも相まって、クリアで明快な録音。特に後半2楽章の充実ぶりが顕著だが、遅い一定のテンポをかたくなに守りながら(それに慣れるまではいささかの忍耐を要するかも知れない)、ブルックナー特有の音の“うねり”を大きく描いてみせる。そのアプローチには迷いがなく、自信に満ちたギーレンの代表盤の一つだろう。親日家だった巨匠のご冥福をお祈りしたい。

 

【参考】ギーレン・ブルックナー:交響曲全集―エディション第2集(1968-2013年)―

・第1番:ウィーン版、2009年1月ライヴ

・第2番:1877年 第2稿、ザールブリュッケン放送響、1968年3月

・第3番:1876/1877年 第2稿、1999年5月

・第4番:1874年 第1稿、1994年4月

・第5番:1878年 原典版、1988年12月&1989年11月

・第6番:1881年 原典版、2001年3月

・第7番:1883年 原典版、1986年12月

・弟8番:1887年版 第1稿、2007年6月ライヴ

・第9番:原典版、2013年12月ライヴ

*第2番以外は、バーデン・バーデン南西ドイツ放送響

https://www.amazon.co.jp/Bruckner-Synfonie-Nr-8-C-moll-Gielen/dp/B006BF8PGE/ref=sr_1_4?s=music&ie=UTF8&qid=1552226168&sr=1-4&keywords=gielen+bruckner#customerReviews

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セル/ウィーン・フィル 交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第7番

1968年8月21日、ザルツブルク祝祭大劇場におけるライヴ音源。1965年シュターツカペレ・ドレスデンで第3番を振って注目されたセルが、3年後、今度はウィーン・フィルで第7番を取り上げたのだから、当時の関心は高かったであろう。

録音は、音が平板で深みがなく、かつ音域のレンジも狭く良くない。馥郁たるウィーン・フィルの響きが感じられず、その点感動は明らかに減殺される。

しかし、演奏そのものは立派である。リズミックさ、明朗さ、そして速度設定の巧さ、の3要素に加えて、弦楽メロディの磨き方にセルの技能が光る。当時、クリーヴランド管はニューヨーク・フィルを抜いて“全米NO.1オケ”の評価をえており、ウィーン・フィルのメンバーもそのシェフたるセルとの共演は興味津々であったのではないか。

第1楽章は遅めの運行ながら、主題の提示は実に入念に行われる。落ち着いて、奇を衒わぬ、いかにもセルらしい解釈。第2楽章は、冒頭からウィーン・フィルの美しく表情豊かなアンサンブルが前面にでる(録音が良ければ、もっとそれに酔えるはずだが)。この楽章、金管楽器はあくまでも弦楽器の奉仕役に徹すべしと指示がでているような、弦楽器と木管楽器主体の室内楽のような音楽が続く。これはこれで徹底し特徴的である。第3楽章はリズミックさ、明朗さ、そして速度設定の巧さがもっとも典型的にでており、爽快感があろう。終楽章も明燦さ、快速性を基調に、柔らかな音づくりに配慮している。セルの場合、第3番も同様だが、ブルックナーの巨大な音の構造物を期待すると肩すかしを感じるかも知れない。しかし、セルによって整序されたアンサンブルで聴くブルックナーの緩徐楽章は、実に格調高く美しい。そこが魅力である。

ブルックナー:交響曲第7番

2006

セル(ジョージ)、 ブルックナーCD
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セル/シュターツカペレ・ドレスデン 交響曲第3番

ブルックナー: 交響曲第3番ニ短調

1965年8月2日、ザルツブルク祝祭大劇場におけるライヴ音源。注目は、セルがドイツ本場の伝統を守るシュターツカペレ・ドレスデンを振って、彼には珍しいブルックナーを取り上げていること(但し、第3番はクリーヴランド管とのセッション録音もある)。録音は1965年時点ということを考慮しても、音が平板でなんとも残念極まる。これが条件のよいステレオ収録であったら、もっとセルらしい緻密な“音づくり”を味わい感動を呼んだであろう。

それでも妙味はある。シュターツカペレ・ドレスデンは優れたオケだが、やや田舎臭い野趣あふれるところに魅力がある(ブルックナー自体が、そうした傾向をもっている)。それが、セルの手にかかると、第2楽章が典型だが、弦楽器セクションを中心にいかにも洗練された音に変じる。それに折々、迫力ある金管楽器が大きく被さっていく。第3楽章の律動感も楽しめる。音が過度に重くならず、よく整ったアンサンブルからは明朗な響きを引き出している。終楽章も熱演だが、録音のせいもあって、突き抜けるような迫力は感じない。収まり良くまとまっている感じ。シュターツカペレ・ドレスデンの弾けるような強奏をのぞむ向きからはやや物足りなさがあるかも知れない。しかし、アンサンブルが整序され、一瞬もダレない、格調の高さこそセルの持ち味とすれば、本盤もそれは十分に看取できるだろう。

ブルックナー: 交響曲第3番ニ短調

2006

セル(ジョージ)、 ブルックナーCD
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ブルックナーの売れ筋 ドイツでは…

Bruckner: Messen in d-Moll (Sa

Bruckner: Sinfonien Nr. 1-9

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Bruckner: Sinfonien 1-9 (Karajan Sinfonien-Edition)

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Bruckner: Sinfonien

Bruckner: Sinfonien

2012

Berliner Philharmoniker、 Gunter Wand

Anton Bruckner: Sinfonien 1-9 [CD-Box]

Bruckner: Complete Symphonies

Bruckner Symphony No 3 Carl Schuricht

Bruckner: Sinfonie 4

Bruckner: Sinfonien 0-9

ブルックナー:交響曲全集

2010

ロリン・マゼール、 ブルックナー

Sinfonie 8

Bruckner: 10 Sinfonien / Ouvertüre g-Moll

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Bruckner: Sinfonie 9

Haitink: Bruckner – 10 Sinfonien, Te Deum

Zubin Mehta - Bruckner - Symphony No.4

Bruckner: Symphony No. 4 / Wagner: Lohengrin Prelude (Live)

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」

2018

アンドリス・ネルソンス、 アンドリス・ネルソンス

Bruckner (Abbado Symphony Edition)

Bruckner: Messen in d-Moll (Sa

Bruckner:Complete Piano Works

Sinfonie VII

Bruckner: Sinfonie Nr. 7

Sinfonien 1-9

Sinfonie Nr. 3 d-Moll

Bruckner: Symphony No. 7 / Wagner: Siegfried's Funeral March (Live)

ブルックナー: 交響曲第7番

2018

アンドリス・ネルソンス、 アンドリス・ネルソンス

Bruckner: Sinfonien 1-9

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Bruckner Collection

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(出典)

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テンシュテット/ロンドン・フィル 交響曲第8番(再聴)

Bruckner: Symphony No.8

第4番をベルリン・フィル盤で堪能したあと、第8番を聴くとオーケストラの音の違いが如実にわかる。ロンドン・フィルの音は“比較において”軽いし深みにやや乏しい。しかし、それはあくまでも“比較において”であり、このオケには、テンシュテットとマーラー全集に挑戦した、いわば“手兵”としての自負や信頼感もあり、縦横な指示に的確に応えているだろう。

次に、テンシュテットの第8番の捉え方について。リスナーの勝手な期待値、思い込みとは別に、テンシュテットにとっては、あくまでもブルックナーの主要作品の一つといった位置づけかも知れない。リスナーにすれば、第4番であれだけ“熱かった”のだから、第8番ではさらに…と思うのだが、テンシュテットにとってはどちらも同じ扱い、但し、オケの違いは十分に考慮といった感じかも知れない。

第8番では後半2楽章に力点をおく一方、テンポは遅い。かつて、こう記した。

―― 全般に遅い運行で、特に第3楽章のアダージョ後半の第2主題を奏するヴァイオリンの引っぱり方などは限界に挑んでいるかのような緩慢さである。しかし、そこに籠められるのはとても深い豊かな響きである。

フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、そしてチェリビダッケなどにも共通するが、遅いテンポの持続は、その少しの変化でも微妙な表情づけを可能とする。第4楽章も同様。速くなく(nicht schnell)どころではなく第3楽章の長い延長線が続く。フィナーレもコラール風の句の前後で若干、テンポが上がるが最後までほぼ巡航速度は維持される。フルトヴェングラーのようなアゴーギグにともなうクレッシェンドやディミニュエンドの多用はなく、使われる場合はかなり抑制的に(しかし、それゆえ効果的に)発動される。

しかし内燃するエネルギーは迸るように激しく、なんど聴いても終了後深い感動がある。テンシュテットらしい名演。――

いま聴いても、小生に進歩がないのか基本的な感想はかわらない。しかし、第8番は、チェリビダッケ、カラヤン、ジュリーニとここのところ“遅い”演奏を多く耳にしてきたので、テンシュテットの第3楽章の長さがあまり気にならなくなった。これも上記同様“比較において”ではあるが。そして、この楽章だけはベルリン・フィルの密度が濃く完璧なアンサンブル(特に低弦の厚み)で聴いてみたいな、とない物ねだりをしたくなる。なぜなら、小生がテンシュテットに注目したのは、この第8番のベルリン・フィルライヴをFMで聴いたことが切っ掛けだからである。

ブルックナー/メモランダム⑦ーK.テンシュテット

ブルックナー 第8番 テンシュテット 備忘録

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テンシュテット/ベルリン・フィル 交響曲第4番(再聴)

Symphony 4 " Romantic "

第1楽章、ゆっくりと慎重に主題を提示していく(以降、再現部などの主題提示でもこの傾向は一定)。全体として、ペースを崩さず一歩一歩踏みしめながら坂道を登るがごとき演奏。一方、“音量”の増加と“色調”の明るさが“同期”しており、はじめのクライマックス形成後は、若干テンポを動かし変化ももたせるが、鷹揚とした構えはかわらない。

第2楽章、低弦を前面に重い出だしは第1楽章同様。テンポは一定で遅い。緩徐楽章の魅力的なメロディは前述の“音量と色調の同期”によって奏でられるが暗き影も差し込む。

第3楽章、テンポを上げ、ベルリン・フィルの全奏による迫力十分のスケルツォ。一転、牧歌的なメロディは情感たっぷり、ふたたび畳みかける強奏という「入れ子」状の変化のメリハリがよく効いている。

終楽章も第1楽章を踏襲しながら、テンポ上昇、音量増加によって、ブルックナーの壮大なアーチを音響空間に出現させる。その後の静謐回帰のあとのフィナーレへの道程はテンシュテット流の大胆さが顕著。カラヤン/ベルリン・フィルの同番演奏ではありえないが、一部では金管楽器の思い切った咆哮や弦楽器のせり上がっていくような音も聴くことができる。このように躊躇なく強奏を打つのはコンヴィチュニーほか旧東独の指揮者に共通するが、テンシュテットの場合は、ゴツゴツした感じがなく流麗な音の奔流が魅力。

 

テンシュテット ブルックナー 交響曲第4番 <4>

 

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